「私はあなたの大ファンでした」

Blue あなたとわたしの本 154

 

 

「お前なんか駄目だ」と誰かが

 あなたに言ったとしても、

 その人は

 24時間、

 あなたを見ているわけじゃないんだよ。

 あなたの神経の細やかさも知らなければ、

 あなたの努力も知らないんだ。

 ── だから、

 気にしないで。

 

  逆にさ、

 人に

「スゴいなぁ」と思わすことや、

 ファンにさすことなんかも、

 実は── 

 案外、簡単なんだよ。

 いいとこだけ見せてりゃいいんだから。

 

 むつかしいのは── 

 自分自身に、

「スゴいなぁ」って思わすこと。

 自分自身を、

 ファンにさすことなんだ。

 ── これはむずかしい。

 ごまかしもきかない。

 だってこの場合は、

 24時間、

 365日、

 見られているわけじゃない?

 ちょっとやそっとじゃ、

「お前はスゴいなぁ」

 なんて思ってくれないんだよ、

 自分自身は。

 

 僕にもたくさんの夢があるんだけどね、

 そのなかの大きなひとつはさ、

 この世を卒業するときに、

 自分自身に、

「俺はお前のファンだった」

 って言わせることなんだよ。

 子供っぽい夢だけど── 

 そう思うんだ。

 言わせてみたいんだよねぇ。

 

 でもこれは、

 なかなかいい夢の設定でもあってね、

 言わせるためにはさ、

 自分の仕事の腕を磨きつづけることはもちろん、

 人として ろくでもないことはできないってことじゃない?

 命を大切にもできないような人間のままで、

 ファンになんかなれないんだもの、だれだって。

 

 だから、

 そのためにも── 

 自分自身をファンにさせるためにも── 

 腕を、 

 心を、

 磨いていきたいと思うんだ。

 そうそう、

「緩急自在」、も忘れないようにして、ね。

 

 想像力のある人間 。

 思いやりのある人間 。

 やさしい人間になりたい。

 ── 少しでも。

 

 せっかく人生の時間が、

 与えられているんだもの。

 

 そして最後に自分に言わせてやろうぜ。

「私はあなたの大ファンでした」ってさ。

 

 あなたと僕なら、

 最後にそう言わせられるから。

 

 

 うん、

 ─── 必ず。

 

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