Blue あなたとわたしの本 110
そうですか。
無理ですか。
もう立ち上がれないですか。
そうですよね。
よくがんばりましたものね。
あなたほどがんばった人は、
実際、そうはいないですよ。
だけどいま、
一人の人間が
あなたを見ているんです。
心臓を高鳴らせて、
ハラハラと、
見ている人間がいるんです。
だれだって?
あなたですよ。
もういちどだけ立ち上がることを選び、
光をつかんだ、
ふたつある未来のうちの
そのひとつの
あなたですよ。
あなたが立ち上がることを
やめてしまえば、
その人間はもちろん
かき消えてしまいます。
だからその人は、
食い入るような目で、
地面に這いつくばった
あなたを見詰めているんです。
涙でぐちゃぐちゃになった、
あなたのいまの顔をね──。