洗濯物を干すのが好きだ

エッセイ Blue 32

 

 

 洗濯物を干すのが好きです。なんて言うか、忘我になれると言うんですか? いや、忘我になるのとは違うな。 納得のいく〝干し〟を完成させること以外、考えなくなるんです。洗濯物を干しながら、「生きる意味とは何だ?」とかって、洗いあがった衣類を入れたカゴをなぎ倒しながらそのへんをのたうち回って苦しむ人、あんまりいないじゃないですか? 思考が、洗濯物を干すこと、だけになります。これってちょっとした解放感。 それに僕、かなりキチンと干すんです。それは見事ですよ。

 物干し竿にTシャツとかをぶら下げる間隔も定規で測ったようにピッタリです。洗濯バサミがいっぱい付いた四角いやつ、あるじゃないですか? 「ピンチハンガー」って言うんでしたっけ? あれなんかに靴下とかを下げるときも、対にしてシンメトリーにしないとイヤなんです。カゴの中から同じ色のを探し出します。乾いたら取り込むんだからどんなふうにぶら下げてもええがなとはならんのですよ。美しく干さないと。僕が靴下とかトランクスをぶら下げると立体芸術みたいになりますよ。あるいはマンダラが3Dになったみたいに。このあいだも物干しに Tシャツを何枚か引っ掛けてて、「このあたりに赤みが欲しいな」とか思って赤いシャツを買いに行きましたからね。順番がもうあべこべと言うか、なんのための衣類かすらわからなくなっています。ちゃんと身には付けますけどね。そして美しく干します。気さくな近所のおばあさんなんかが「上手に干したはりまんなぁ」って声かけてくれてもおかしくないくらい。実際に声をかけられたことはないんだけど。脳内によく出てくるんです、着物を着たそのおばあさんが。「上手に干したはりまんなぁ」って感心しながら。

 干し終わったら、何歩か下がってこれでオッケーか確認します。Tシャツの並びなんかで気に入らないところがあったら場所を入れ替えたり。すき間の間隔もより正確にしたり。さらに美しく整えます。文章を推敲するみたいに。

 それでやっと「よし」となると、「よし」と呟いて家の中に入ります。おばあさんにはとりあえず次回の洗濯の日までお帰りいただきます。 あと、いまの住居に越して来て、早いもので二ヶ月が経ちました。新居では、机に向かうと窓の向こうに庭が見えます。洗濯物たちが白い陽を浴びて、とっても気持ちよさそうです。

 今日の〝干し〟の出来具合ですか? そうですね、いいですよ。いいんですけど、ちょっと隅のあたりにブルーが欲しいかなぁ。あのあたりに青みが来るとよりクールな味わいになるかもしれません。うん、そうだな。
 あとで「ユニクロ」でも覗いてみるか。

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