新生活、始める。── あるいは最良のものを受け取ることについて──

エッセイ Blue 30

 

 

 また引越ししなきゃなんなくなっちゃってさ。

 

 「夏、家にペンキを塗る」に書いた平家に5年とちょっと住んでいたんですけど── いまもまだ居るんですけど── ここに来ることになった理由っていうのはね、その前に借りてた一軒家を大家さんが「つぶして土地を売る」って言いだしてさ、それで越してきたんです。今回はね、いま借りてる平屋の大家さんが「つぶして土地を売る」って言いだしてさ、「またかーい!」みたいな。

 こんなややこしい時世のときにややこしいことを言い出すなよとも思ったんだけど── まぁ、しょうがないじゃないですか? 土地も家も大家さんのものなんだしさ。ぐずぐず文句を言ってもしょうがないべ? どうすることもできないことが起こったときって、「必然・必要・ベスト」なんだって僕は考えるようにしています。そうするとさ、「あぁ、やっぱりあれがベストのタイミングだったんだなぁ」ってあとから思えることが多いような気がする。うん、多いな。

 

成功者が残した引き寄せの言葉」って本に載ってたんですけど、「月と六ペンス」を書いたサマセット・モームがこんなことを言っています。

 

人生とはおもしろいものだ。

最良のもの以外、

受け取るのを拒否すれば、

最良のものばかり受け取るようになる。

 

 鮮烈な言葉だと思いません? こういうけったいなことをしれっ、と言い切ってくれる言葉、僕、好きなんですよ。

 行動しなきゃならないとき、「最良のものだけを受け取るぞ」って僕も思うようにしています。「最良のもの以外、受け取るのを拒否する」って。── この言葉を知ってからね。ついついネガティブなことばっか考えて、気を揉むのが僕たちだもんね。

 

   人生とはおもしろいものだ。

   最良のもの以外、

   受け取るのを拒否すれば、

   最良のものばかり受け取るようになる。

 

 うん、いいよねぇ。

 同じ本に、オードリー・ヘップバーンのこんな言葉も載ってた。

 

きっぱりと

決断する人だけが

成功するのです。

 

 

 この人が言うからビビッドに感じたのかもしれないなぁ。「オードリー・ヘップバーン、こんなこと言ってたんだぁ!」って思ったもん。はっ、としたよ。

 僕はこの本、実は大して期待しないで購入したんです。面白かったですよ。知らない言葉もけっこう載ってたし。成功者1人につき見開きの2ページのみで構成されてて、読みやすくもあったな(似顔絵はビミョーだけど。でもかわいい (#^.^#) )。誰でも知ってる偉人と、「引き寄せの法則」っぽい言葉をマッチングしたアイディアが新鮮だった。

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成功者が残した引き寄せの言葉

成功者が残した引き寄せの言葉

 

 



 話を戻しますね。引き寄せではなく、引越しです。10月いっぱいまでは平家に居てもいいことになってて、まだちょっと時間はあるんだけど、物件はネットで毎日見ています。見だすとクセになるんですよね、あれって。どのサイトを覗いてるときでも広告は〝物件〟ばっかしになってくるしさ。人の「はてなブログ」を読ませてもらってるときもね。「おっ、この物件 知らないぞ」、なんてすぐにクリックする。── 広告貼ってる方の広告収入にけっこう貢献したんじゃないかなぁ、ここんところ、僕。

 一日、10件も20件も見てます。でね、そんな数週間を過ごしてるとさ、だんだんどの物件もおんなじに見えてくるんだわぁ。なんで同じに見えてくるのかなぁ、って考えてたら、どの家にもキッチンがあるわけですよ。トイレがあり、お風呂があり、洗濯機を置く場所なんかもあるわけです。 住む、ってそういうことだもんね。「わたしは美人だからトイレは必要ないわ」とかさ、「おれはイケメンだから洗濯機なんて所帯染みたものとは無縁だぜ」ってわけにはいかないわけですよ。お風呂もいるわけです。追い焚き機能が付いてたらありがたいことこの上ないわけ。 そんなことを考えてたらね、愛おしくなってきちゃってさ。部屋、がじゃないですよ。人間、がね。キッチンやトイレやお風呂や洗濯機が必要な人間が、です。 こんなややこしいご時世のときでもさ、人はご飯を炊き、お風呂で体を洗うわけですよ。洗濯もするわけです。洗濯して、干すんです。干すんですよ。なんで干すと思う? 乾かすためです。乾かしてそれをまた着るためです。それを着て、外へまた出るわけです。生活を続けるために。生き続けるために── 。

 そんなことを考えてたらさ、どうして人をいじめられますか、って思うわけです。その人が異性であろうと同性であろうと国籍がどこであろうとさ。みんな台所やトイレやお風呂や洗濯機が必要な人間なんですよ。美人もイケメンもナニジンもないの。カッコわるくてこっけいで、けなげで、かわいらしい、愛おしい人間なんですよ。悩みや苦しみ・悲しみ、不安もしこたま抱えて── 。それでも、泣きたくなるほどきれいな笑顔も時には浮かべてさ── それぞれの空の下で、今日を、懸命に生きているんだよね。

 物件を見ながら、そんなことを、考えてる。── ちょっと変かなぁ?

 

 

 
 あなたは今年、引越しをされますか? 

 引越しの予定があっても、なくても、新生活を始めませんか? たくさんの傷みをあなたは経験したけれど、これからは最良のものばかりを受け取る、って決めてさ。人を恨まず、自分もいじめず。 始めようよ。新しい生活を。最良のものを受け取ろう

 あなたとわたしはそれに相応しいと思う。

 がんばってる人はそれに相応しいと思う。


 物語は続きます。

 光満ちる新しい季節を、

 さぁ、迎えようよ。

 

 

人生とはおもしろいものだ。

最良のもの以外、

受け取るのを拒否すれば、

最良のものばかり受け取るようになる。

 

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月と六ペンス (新潮文庫)

月と六ペンス (新潮文庫)

 

 「月と六ペンス」は好きな作品です。芸術家小説にはキホン惹かれるようですね。金原瑞人訳が、やっぱり読みやすいかな。

 


 

 








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