エッセイ Blue 29(おすすめ Blue 2)
「智(とも)さんは文章を書くとき音楽を流す人ですか?」とご質問いただいたことがあったのですが、そのままになっていました。すみません。
はい、流しますね。ですが日本語が聞こえてくるのはダメです。文を綴ってるのに言葉が入ってくると書けないです。じゃ、外国語だったら意味がわからないからいいかというと、それもアカンですね。エモーションみたいなのが飛んでくるじゃないですか? 「人が文章書いてるのに俺の机の上でなにを熱唱しとんねん!」って思っちゃうんです。ステレオセットを机の上にのっけてますから。そないたいしたステレオセットじゃないんですけど。
インストゥルメンタルだったらいいかというと、あまりにドラマティックなものもイカンのですよ。 ジャジャジャン! とかって急にテンションを上げられると我に返っちゃうんです。「びっくりするやないかい!」みたいな。
そうなってくるとですね、けっこうむずかしいんですよ。執筆時にかけて最適な音楽って。「無音で書いたらええがな」ってあなたは言われるかもしれませんが、それはそれで集中できなかったりするもんやのよ。生活音が耳に届いたりなんかして。
美しいインストで、あまり起伏がなく、最初の1、2分は耳に届いてるんだけど、その後、徐々に聴こえなくなる── というややこしいのがいいんです。文章書くときとか 勉強するときって。みなさんもそういうCDを流しながら作業されているのではないかと想像するのですが、どうでしょう? 条件を満たすものって、意外と少ないですよね。
なにか最適な音楽があったら僕のほうこそ教えてほしいです。
まぁ、そういうね、歴代さまざまなCDを僕も持っていたんですが、この一年くらいはこれに落ち着いてるなぁ、というのを今回はご紹介するやのよ。
はい、ウォン・ウィンツァンの「青の龍 BLUE DRAGON」です。
「Blue あなたとわたしの本」のBlue、とかけてるわけじゃないですよ。偶然です。
ウォン・ウィンツァンさんは「瞑想のピアニスト」と呼ばれるピアニストであり、作曲家です。 誰でも知ってるというアーティストではないのかもしれませんが、ご存知の方も多いでしょうね。
「青の龍〜」はね、ピアノ即興曲集の2枚組アルバムです。そう、インプロヴィゼーションというやつです。全然、即興で弾かれてるって感じじゃないんですけどね。一曲一曲が完成されています。「実はしっかり作り込んできたんちゃうん?」と言いたくなるくらいに。でもね、即興なんですよ。インプロヴィゼーションです。こういう人って、いるんでしょうね。僕の理解を超えています。「瞑想のピアニスト」ですもん、なんてったって。
この2枚組のね、Disk.1のほうを文章書くときに聴いています。というかすぐ聴こえなくなっちゃいます。57分09秒あるんですが、気がついたら止まってた、ということもしょっちゅうありますね。57分間、すごく集中してた感じはします。時間的にもちょうどいいんですよね、約1時間、っていうのが。
いま、長い小説を書いています。執筆のメインはこれです。このさいも「青の龍〜」の Disk.1をかけています。「Blue〜」を書くときもそうですね。
お手元に「青の龍 BLUE DRAGON」のCDが届いたその日から、あなたも「Blue あなたとわたしの本」が書けます、余裕で。 なにが「とくに書きたいとは思わんなぁ」やねん。
思えばこの一年以上、ずうっとこの「青の龍〜」のDisk.1を流しながらあらゆる執筆をしています。Disk.2 はアカンの? と思われるかもしれませんが、そんなことはないですよ。そんなことはないのですが、文章を書くときは、僕の場合 Disk.1 がしっくりくるようです。Disk.2 はソファでくつろぐときなんかにかけています。
あと、こちらもよくかけますね。
同じくウォン・ウィンツァンの「MOON TALK」。これもピアノソロ・インプロヴィゼーションです。ファーストコンサートのライブ録音なんですね。1990年ということです。「青の龍 BLUE DRAGON」は2014年と、まだ最近作。
「MOON TALK」も最初執筆時に流していたのですが、ちょっとキラキラしすぎているところがあって、聴き入っちゃうというか、書いている世界から戻される感があったんです。なので、いまはくつろぐときにもっぱらかけています。気持ちいいですよ。
あとリラックスタイムに超おすすめなのがピアニスト、ケリー・ヨストさん。
ケリー・ヨストさんはね、人間が弾いているような感じが僕はしないんです。いわゆる超絶技巧、という意味ではないですよ。まるで人間より高次の存在が奏でているかのようです。ケリー・ヨストさんの肉体を借りて。 なんだかそんなふうに聴こえます。とっても清らかな音色で、安らぎ、癒されますね。
一日中、流しっぱなしにしていてもしんどくない音楽は、ひょっとしたら僕にとって ケリー・ヨストさんだけかもしれません。
まとめます。
◯ 勉強時・執筆時にはウォン・ウィンツァンさんの「青の龍 BLUE DRAGON」がおすすめ! とくに Disk.1!
◯リラックスタイムは同じくウォン・ウィンツァンの「MOON TALK」、 あとケリー・ヨストさんのCDは超おすすめ!
── ということです。
あなたにも気に入っていただけたらとっても嬉しいやのよ。
「わたしも勉強時・執筆時に最適な音楽を知ってるよ!」という方は、ブックマークコメントでもコメント欄でもけっこうですので、ぜひ皆さまに教えてあげてくださいね。僕も知りたいです。お待ちしています。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!